吉田 翼情報メディアシステム学専攻 博士前期課程
研究テーマ:視覚障害者のための画像特徴の可聴化(Image Feature Sonification for the Visually Impaired)
活動の概要
活動概要
派遣先のカリフォルニア大学サンディエゴ校Serge Belongie研究室において、視覚障害者のための画像特徴の可聴化について研究を行った。同じく派遣プログラムで同校に赴任していた同研究室の木谷クリス真実先生の指導のもと研究を進めた。また、研究に際し同校所属の視覚障害を持つ研究者であるJohn Miller氏や、ウィンコンシン大学のKevin Schlei氏にも共同研究者としてお世話になった。 海外で研究に没頭できる機会を与えて頂いた、この派遣プログラムに心から感謝する。
研究概要
我々は画像中のエッジ特徴とエッジまでの距離情報の可聴化によって、視覚障害者のオブジェクト認識を援助するフレームワークを提案した。具体的には、我々は3種類の画像の可聴化手法(1)エッジ特徴への接触時の可聴化(2)局所的なエッジの傾きの可聴化(3)再近傍エッジまでの距離情報の可聴化を試みた。そして、その可聴化手法をタッチパネル式のモバイルデバイスに実装し、画面に触れる動作による入力とスピーカーからの音声フィードバックによって可聴化を実現した。作成したアプリケーションによる実験では、可聴化によって簡単な図形形状を認識できることを示した。
研究成果概要
計画通りに研究プロジェクトを進めることができ、成果をあげることができた。
研究成果としては、派遣留学中に国内学会(第18回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ)への投稿を行い、ポスター・デモ発表を行った。また、派遣終了後には国際学会(Augmented Human 2011)にショートペーパーが採択され、遠隔発表による口頭発表を行った。さらに、派遣時の研究を元に執筆した修士論文が高く評価され、学科の副総代に選任された。
研究の途中では、同分野の研究者とミーティングを行ったり、共同研究を行うことができた。また、プロトタイプシステムを実際に視覚障害者の方に使用して頂き、システム改善に生かすことができた。
個人的には、2ヶ月という決められた期限の中で、 研究内容の決定、プロトタイプの作成、論文執筆と、一つの研究プロジェクトを遂行した経験は自身に取って大きな自信となった。研究に限らず今後のあらゆるプロジェクト運営に役立つ時間管理力が身に付いたと考えている。
国際化に関する所感及び提言
外国語スキル
渡航前後ではTOEICのスコアが600点から660点に向上したことから、外国語スキルの向上に一定の効果があると感じた。しかし耳が英語に慣れてきたと思ったころにはもう帰国する時期であり、 英語を学ぶには2ヶ月半は短いと感じた。
海外機関とのネットワーク構築
カリフォルニア大学サンディエゴ校は広く研究生を受け入れている印象を受けた。本学からより多くの研究者が渡航し、成果をあげることを期待する。
作成日:2010年10月26日 / 更新日:2011年11月18日