電通大の国際交流
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西村 奈令大総合情報学専攻 博士前期課程

派遣先:イタリア Scuola Superiore SantAnna PERCRO lab
派遣期間:平成24年10月4日~平成24年12月31日

研究テーマ:指先の皮膚変形を用いた静止摩擦力提示デバイスの開発

活動の概要

イタリア・Scuola Superiore SantAnnaのPERCRO lab(Perceptual Bototics Laboratory)に所属するAntonio Frisoli准教授の研究グループに加わり3ヶ月のインターンシップを行った。当研究グループは触覚ディスプレイおよびロボット工学を研究対象としており、世界的に高い評価を得ている。

出張中はスーパーバイザーであるFrisoli准教授の下、指先の皮膚変形を用いた静止摩擦力提示デバイスのプロトタイピングを行った。従来の静止摩擦力提示では力覚フィードバックによる手法が主流であったが、本研究ではより高いリアリティを伴ったバーチャル空間とのインタラクションを目指し、皮膚感覚のみを用いたデバイスを考案した。これにより力覚フィードバックでは難しかった、バーチャルな平面に触れている部分にのみ摩擦を提示することが可能であると考えられる。

今回の出張では皮膚感覚のみで力を感じることができるようにするためのアクチュエータの最適な出力値の検討及び皮膚変形が発生した際に静止摩擦力であると認識することができるかを検証する予備実験を行った。

研究成果概要

出張中の研究活動により、皮膚変形を発生させるのに十分な力を出力させることのできるデバイスを作ることができた。これは前項で述べた最適な出力値を検証し、それに基づいたものである。
今後はこの知見をもとに、さらなる改良、そしてより詳細な実験を進めていく。また、今後開催される国際学会で投稿する予定である。

国際化に関する所感及び提言

今回の出張では、英語に対する危機感を改めて実感した。日本では長い間国際化が叫ばれており、英会話教室の増加や小学校における英語教育の是非の検討など、英語を学ぶ機会はますます日本人にとって身近になっている。日本人が英語を以前よりも重要視するようになった結果と言えるだろう。
しかしその一方で、欧米諸国や日本以外のアジアの国々は母国語に加えて外国語が少なくとも1つ(多くの場合英語が)話せることが当然になってきている。そして私の留学したイタリアも例外ではなかった。南欧(イタリア・スペイン)は英語の普及率がそこまで高くないと言われているが、それでも話しかけるほとんどの人は話すことができた。しかも、私よりはるかに流暢だった。もし留学しなければ、このような衝撃的な体験に出会うこともなかっただろう。私はこれを機に危機感を覚えると同時に、英語の重要性を再認識した。

また、国籍の違う仲間とともに研究活動を行うことも私にとって非常によい刺激となった。日本人とは違う視点での議論に戸惑うこともあったが、日本では得られなかったであろう考え方を身につけることができた。今後の研究活動において、有益になるものと思われる。

これらのように今回感じることができたものは、実際に留学したからこそ経験することができた感覚である。研究室には留学を経験した先輩がいるが、彼らの体験談を聞くだけでは見えてこなかった現状や事実が多く見つかった。来年度以降、海外への留学を希望する後輩へのアドバイスとしてはただ1つ、「まず手を挙げること」である。どんなに有益な話を聞いたとしても、それが全てではない。とにかく、チャンスがあって少しでも留学に興味があるならば積極的に飛び込んでいくべきであると私は思う。

作成日:2013年3月18日 / 更新日:2013年4月23日