市野 順子情報メディアシステム学専攻 助教
研究テーマ:(A)会議支援に関する認知実験、(B)タンジブル・バーチャルUIに関する認知実験、(C)子供の創造性支援
活動の概要
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グループダイナミクス情報の提示方式の違いがチーム行動に与える影響に関する研究(研究テーマの(A))
メンバーのチームワーク行動情報の提示方式の違いによって、メンバーはコミュニケーションパターンを変えるか、提示方法の違いによって差があるかの実験的検証に関する研究を行った。 -
タンジブル・バーチャルインタフェースが認知特性に与える影響に関する研究(研究テーマの(B))
フィジカルツール(タンジブルUI)とバーチャルツールを使ったインタラクションが人間の感覚に与える影響の実験的検証に関する研究を行った。 -
子供のための作曲支援システムに関する研究(研究テーマの(C))
お絵描きをメタファとし、目に見えない抽象的な「音楽」を絵として視覚化してイメージしやすくすることで、子供の作曲活動を促すシステムを開発した。 -
HCI(Human Computer Interaction)に関するカナダ国内のワークショップ参加
カナダ国内のHCIに関わる研究機関が新しい研究技術を紹介するワークショップ「SurfNet Workshop( http://www.surfnet.nl/nl/Pages/default.aspx )」に参加した。滞在したラボのメンバーとして上記(3)の研究テーマの紹介を行うとともに、種々のラボの研究発表を聴講した。 -
Greenberg教授の授業参加
滞在したラボの教授の一人である、Saul Greenberg教授の修士・博士を対象とした講義「Ubiquitous Computing」に参加した。同教授の講義に対する取り組み方、講義の進め方、学生の課題の取り組ませ方を学んだ。
研究成果概要
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グループダイナミクス情報の提示方式の違いがチーム行動に与える影響に関する研究成果公開(上記6の(1))
帰国後も検証実験を続けて行い、今年度中には国際会議および論文の投稿を行う予定である。 -
タンジブル・バーチャルインタフェースが認知特性に与える影響に関する研究成果公開(上記6の(2))
滞在中に行った検証実験の分析をひき続き行い、今年度中には国際会議および論文の投稿を行う予定である。 -
子供のための作曲支援システムに関する研究成果公開(上記6の(3))
世界でトップレベルの国際会議CHI2011のワークショップにおいて発表を行うことが決定している。帰国後も検証実験を続けて行い、今年度中には国際会議および論文の投稿を行う予定である。 -
担当講義および講座ゼミの活性化(上記6の(5))
学生に自主的に課題に取り組んでもらうためには、教員はどうあるべきかを学んだ。それを、担当講義(基礎科目2)および講座で実施している各種ゼミ(修論ゼミ、論文輪講、テキストゼミ等)に反映させる。 -
人脈基盤の構築
派遣者所属講座と滞在したラボの研究領域は非常に近接している。滞在中に築いた人脈基盤により、帰国後も両組織の活発な相互交流・連携を展開できると考えている。学生の短期滞在先としても有力な候補となると思われる。
国際化に関する所感及び提言
国際的視野の涵養、自身の研究テーマ・所属講座・所属大学の客観的な評価、人脈基盤の形成という点で見ると、行った意義は派遣者当人にとっては大変に吸収することの多い半年間であった。
一方、外国語スキルの習得という点では、半年間という期間は短すぎると感じた。外国語(英語)に耳が慣れそうになった頃に帰国しなければならず、ヒアリング・スピーキングとも十分に習得できたとは言い難い。少なくとも1年間の滞在が必要ではないかと思われる。
作成日:2011年1月14日 / 更新日:2011年11月18日