重田 琢也知能機械工学専攻 博士前期課程
研究テーマ:表面張力によるマイクロマニピュレーションを目的としたマルチニードル型キャピラリの開発
活動の概要
本プログラムでは、研究テーマである「表面張力によるマイクロマニピュレーションを目的としたマルチニードル型キャピラリの開発」におけるマルチニードル型キャピラリを操作するためのプログラムの開発を行い、その動作の確認を行った。マルチニードル型キャピラリとは複数本の極細ニードルを円筒状に配置し、仮想的にキャピラリを構築させたもので、それぞれのニードルを直動的に動かすことによってそのキャピラリの端面形状を変化させることのできる装置である。ニードルの配置を図1に示す。0.3mmのニードル6本を1辺が0.46mmの正6角形の頂点にそれぞれ配置し、中心には0.45mmの管が入っている。キャピラリ内部に液体を充填させ、キャピラリの先から微小量の液滴を形成させることで、その液滴の表面張力で操作対象を把持させることができる。その状態でキャピラリの端面形状を変化させることで、液滴の形状もそれに沿うように変化し、把持した操作対象を任意の方向へ傾けることができる。また、傾ける方向を順次変化させることで回転動作を行うことができる。図2に操作の原理を示した。作成した操作用プログラムは、マルチニードル型キャピラリの端面を任意の角度を保持したまま回転させることのできるプログラムと、ゲーム用のコントローラを使用し、ジョイスティック操作により端面を任意の方向、角度に傾けることのできるプログラムを作成した。
研究成果概要
今回の派遣により、マルチニードル型キャピラリの端面回転させることのできるプログラムと、ゲーム用のコントローラを使用し、マルチニードル型キャピラリを操作できるプログラムをNATIONAL INSTRUMENTS社のLabVIEWを用いて作成することができた。またそのプログラムを実際に実行し、動作の確認をすることができた。最初に行ったのは装置を駆動するためのアクチュエータに入力する波形の作成である。マルチニードル型キャピラリは6つのアクチュエータを使用しており、それらを協調して動かすにはそれぞれのアクチュエータに入力する信号長をすべて同じにし、波形の周波数を変更することでそれぞれの移動量を変えることができた。また、回転させるプログラムは入力した角度により、出力する波形を計算し、任意の角度を保持したまま回転させることができた。コントローラを使用するプログラムでは、まずジョイスティックの入力で得られる値を計測し、そこから6方向を検出するプログラムを作り、それを利用してスティックを倒した方向にマルチニードル型キャピラリを傾斜させるプログラムを作った。作成したプログラムを実行し、1005サイズのチップ抵抗を60°傾けた状態で把持、回転操作した様子を図3に示した。これにより作成したプログラムとマルチニードル型キャピラリの有用性を確認できた。
国際化に関する所感及び提言
今回の派遣により、もっとも有意義であったと感じたのは英語によるコミュニケーションを通じて、英語の会話能力が高まったことである。派遣先の研究室内に限らず、出かけた先や他の大学校との生徒とも英語を用いた会話で交流することができた。またタイで生活するにあたり、現地の店での消費活動や整備された鉄道網を利用することにより、タイの文化や経済発展の様子を身近に感じることができた。日本国内にいたままでは経験することのできない貴重な体験ができたと思う。
作成日:2011年9月27日 / 更新日:2012年3月 8日