新井 美幸知能機械工学専攻 博士前期課程
研究テーマ:洗濯物のハンドリングロボットに関する研究
活動の概要
本プログラムで、淡江大学の翁研究室において主にロボットの認識機能についての研究を行った。具体的な内容は、ロボットに実装する画像処理機能の開発である。ロボットが洗濯作業を行う際には、洗濯物や周囲の環境を認識する必要がある。そのために必要な認識機能は、洗濯槽の中に存在する洗濯物を認識する機能、洗濯物の端を認識する機能、物干し竿や洗濯機などの洗濯作業に必要な物体を認識する機能があり、これらの機能をOpenCVを用いて開発を行った。USBカメラをPCに接続し、取得したカメラ画像に対して画像処理を行い、目的の機能が実現しているか、実験を行い検証した。また、研究室で行われているホームサービスロボット研究チームのミーティングに、週一回出席し、画像処理の基礎やOpenCVに関する勉強を行い、ロボットに必要な認識機能についての議論を行った。
その他の活動として、SICE2010(2010年8月18日~21日)を聴講し、関連研究の調査を行った。また、台湾の洗濯環境を調査するために、洗濯機の大きさや洗濯の方法など洗濯に関する簡単なアンケートを作成し、研究室の学生に配布し、調査を行った。
研究成果概要
認識機能に関する研究成果では、OpenCV環境下で、ロボットに実装する認識機能のプログラムを作成することができた。洗濯物の端を認識するためには、取得したカメラ画像に対してラプラシアン処理を行い、それに膨張収縮処理を行う処理が最適であり、洗濯槽から洗濯物領域を認識するためには、洗濯槽内部における洗濯物領域を抽出する必要があり、カメラから取得した画像にグレースケール変換処理を行い、その後ラベリング処理を行う処理方法が適切であった。物干し竿などを認識する機能に関しては、想定したマーカーをきちんと追跡できていたので、物干し竿などにマーカーを設置することにより、ロボットが目標の物体を追跡することができると考えられる。作成したプログラムはハードウェア完成後、ロボットに実装する予定である。また、ホームサービスロボットチームのミーティングに参加することにより、ホームサービスロボットに使用されている基本的な画像処理技術の勉強や、製作するロボットに必要な認識機能についての基礎的な知識が身についた。また、関連研究を英語で聴講することにより、自身の研究の位置づけをきめるだけでなく、技術英語も同時に学習することができた。
研究室で調査を行った、台湾の洗濯環境に関するアンケート結果によると、台湾と日本において洗濯環境に大きな違いはなかった。よって本研究で製作するロボットは日本だけでなく、台湾で使用することも可能であると考えられる。
国際化に関する所感及び提言
本プロジェクトを通じて、研究室の学生と技術交流を行うことにより、技術英語の能力が向上した。また、同時に彼らの技術のレベルの高さに驚くと同時に、将来製造業に携わるものとして、台湾のものづくりに対する姿勢は非常に勉強になった。そして、研究室の学生と話していると、海外志向が強い学生が多いように感じ、内向き志向の強い日本の学生はこのままではいけないと強く感じた。そこで、日本に帰国したら、彼らに負けないように一生懸命頑張ろうと思った。
作成日:2010年9月15日 / 更新日:2011年11月18日