国際教育センターホーム IE-IEレター* Letter 2. ~留学生を支える力~ 中井日佐司先生、金剛山(キム・カンサン)さん

IE-IEレター* Letter 2. ~留学生を支える力~ 中井日佐司先生、金剛山(キム・カンサン)さん

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留学生達を支える国際教育センター教員の中井日佐司先生に伺う。インタビューアー:韓国出身の金剛山(キム・カンサン)さん

私はⅡ類セキュリティー情報学コースの金剛山(キム・カンサン)と申します。出身は韓国で、日韓共同理工系学部留学生という留学プログラムで電通大に入学しました。このプログラムの特徴は、入学する前に国際教育センターで半年間の予備教育(日本語と理系科目等)を受けることです。その時が中井先生との初めての出会いでした。入学してから随分時間が経ちましたが、その当時を回想しながら中井先生を取材しました。

キムさんは2年間の国防兵役義務を経て復学し、当時から4年経過しています)

中井日佐司先生は国際教育センターで、1996年から留学生専門教育担当として主に学部・学域学生の専門科目に関する助言および指導を行なっています。担当授業は留学生向け演習科目「基礎物理学演習第一・二(一年次)」と「情報処理演習第一・二(二年次)」(共に類選択科目)。
 

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話し手:中井日佐司先生  聞き手:キム・カンサンさん
Interviewee:,NAKAI Hisashi , Interviewer: KIM Kang San
 

※このビデオはインタビューの主要な部分をクリップしたものです。後半はネットワークの不具合により音声のみです。
 
 
キム:中井先生の出身地はどこですか?
中井:兵庫県です。海からそこそこ近いところで、凄く大きな団地で暮らしました。大都市ではなかったですが、生活は非常にしやすかったです。
 
キム:これまでの歩みは?
中井:高校の時は、真面目に勉強していなかったですが、物理は好きでした。東海大学の応用物理学科で学部を卒業し、横浜国立大学の大学院に進学しました。
大学院で「溶けにくい金属の表面の電子情報を実験的に調べる」というテーマの研究を博士までしました。その後、電通大の電子物性工学科に就職し、5年ぐらい金属薄膜について研究しました。当時お話がありまして、留学生専門教育の教員募集に応募し、今に至ったわけです。
今は学域の1年生、2年生の留学生に物理とプログラミングを教えています。
 
キム:現在はどのような研究を?
中井:薄膜の成長過程を研究しています。ここでいう薄膜とはアルミホイルの1/100から1/1000mmぐらいの厚さだと思ってください。その厚さだと、自分の力では膜になってられません。通常は板の上で膜を作ります。例えば、半導体の集積回路に金属の薄膜を使って電極をつけます。この金属の薄膜が半導体や絶縁体の上でどの様にできていくのかを調べるのが僕の研究テーマです。
 
キム:研究分野の魅力は何だと思いますか?
中井:基板が何であるか、薄膜として使っている材料は何であるかを特定しない段階でも物理学を使って言えることがあるということです。このような性質を普遍性と言い、面白いところだと思います。
 
キム:電気通信大学への感想は? 
中井:学生さんが勉学に専念しているようで凄く真面目だと思います。偉いです。教員の方は非常に学生に対して親切だと思います。質問に行ったら丁寧に答えてくださったという風なことを留学生の学生を通して聴いています。
 
キム:教員として遣り甲斐を感じる時は?
中井:自分が教える内容について考えたことを皆に話すと、顔つき等、皆の反応が見えます。皆の反応を見て、自分が考えていることが(正しいか正しくないかは別として)ちゃんと整理されているのかが分かることです。又、物理を教えているので僕の授業を受けて物理が好きになる学生がいたら、それも遣り甲斐ですね。
 
キム:留学生達に言いたいことがあれば、一言どうぞ。
中井:(僕に関して)困ったことがあったら遠慮せず早めに相談に来てもらえると助かります。昼休みの時間、Google meet を開けておりますので相談に来ていただければと。相談でなくても愚痴や自慢も結構です。
 
(ネットワークの不具合による中断の後)
 
中井(逆インタビュー):韓国で2年間の兵役を終えて復学したばかりと聞きました。日本人にとって兵役義務というのは馴染みがないので、兵役についての経験を聞かせてください。
 
キム:時間管理と組織の中での働き方を身に着けたことは、自分にとってプラスになったと考えています。私が担当した仕事は、除隊して6年以内の市民を予備軍の訓練へ呼び出すことで、銃撃の訓練などはなかったです。呼び出しですが、3回目まで無視すると罰金が科せられます。そのため最後には家まで押し掛ける必要がありとても大変でした(苦笑)。
入隊直後の38日間は与えられた仕事以外何も考える余裕がなく、常に何か仕事をしているシステムになっています。考える時間は就寝前の僅かな時間だけでしたが、それを利用してなぜ大学へ行くのかを考えました。兵役前は“みんな行くから”とか、“行かなければならないから”という受動的な考えで漫然と勉強していましたが、兵役で“勉強したいから行く”という積極的な考えに変わりました。今は寸暇を惜しんで勉強しています。特に興味があるのはプログラミングで、吉浦先生に授業で教わったウエブアプリケーションのセキュリティー面での弱点に注意しながら、インターネット上で使うアプリを作る勉強をしています。
 

※この記事は2020年8月28日(金)にZoomで行われたインタビューと、キムさんの執筆に基づいています。

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作成日:2020年9月15日 / 更新日:2020年11月27日